大阪大学 産業科学研究所 複合知能メディア研究分野

画像処理

領域分割から超解像処理まで

単一準周期画像列の位相合わせによる時間超解像

Temporal super resolution

本論文は単一の低フレームレート準周期画像列からの時間超解像手法を提案する.画像列の複数周期間に存在するサブフレーム単位の位相合わせデータに基づいて,いわゆる再構成型の手法により一周期の高フレームレート画像列を復元する.最初に,復元すべき周期画像列を位相によるパラメトリック固有空間法による多様体で表現する.入力画像列が与えられると,データ項及び多様体と位相進行の平滑化項からなるエネルギー最小化の枠組みにおいて,位相合わせと多様体復元の繰り返し更新を行う.エネルギー最小化の過程においては,局所最適解を避けるために,3段階のCoarse-to-fineアプローチを導入する.合成画像列及び実画像列を用いた実験により,単一画像列からの時間超解像が可能であることを示す.

発表
  1. Y. Makihara, A. Mori, and Y. Yagi, “Temporal Super Resolution from a Single Quasi-Periodic Image Sequence Based on Phase Registration,” Proc. the 10th Asian. Conf. on Computer Vision, pp. 107-120, Queenstown, New Zealand, Nov. 2010.[PDF]
  2. 槇原 靖, 森 敦史, 八木 康史, “単一準周期画像列の位相合わせによる時間超解像”, 第13回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2010), pp.1475-1482, 7月, 2010.[PDF]

自己動的時間伸縮を用いた単一準周期信号の位相合わせ

本論文では,単一のノンパラメトリックな準周期信号の位相合わせ手法を提案する.最初に正規化自己相関により各信号サンプルに対する局所的な周期を検出する.次に,準周期信号とそれを複数周期シフトした自己信号間で動的時間伸縮を行い,同一の相対位相となる信号サンプルの対応を取得する.最後に,その対応によるデータ項,局所周期に基づく正則化項,及び位相の単調増加制約を考慮した最適化問題の枠組みにより,各信号サンプルに対する位相系列を推定する.準周期信号のシミュレーションデータ,及び歩行から走行に遷移する準周期画像列の実データに対する実験を行い,提案手法の有効性を確認した.

発表
  1. Y. Makihara, N.T. Trung, H. Nagahara, R. Sagawa, Y. Mukaigawa, and Y. Yagi, “Phase Registration of a Single Quasi-Periodic Signal Using Self Dynamic Time Warping,” Proc. the 10th Asian. Conf. on Computer Vision, pp. 1965-1975, Queenstown, New Zealand, Nov. 2010.[PDF]
  2. 槇原 靖, チュンタンゴ, 長原一, 佐川立昌, 向川康博, 八木 康史, “自己動的時間伸縮を用いた単一準周期信号の位相合わせ”, 情報処理学会研究報告, 情報処理学会, Vol. 2010-CVIM-173, No. 39, 福岡,pp.1-8, 9月, 2010.[PDF]

Earth Mover’s Morphing -領域クラスタのEMDフローを用いたトポロジ非依存な形状モーフィング-

従来の閉曲線・曲面に基づく形状モーフィング手法は,トポロジの異なる形状には適用できないという問題点がある.本論文では,そのような形状を扱うためのトポロジ非依存の形状モーフィング手法を提案する.まず,形状のシルエット領域をファジーC平均クラスタリングにより多数の小クラスタ群に分割する.次に,対象となる二つの形状のクラスタ群間のEarth Mover’s Distanceを計算し,結果として得られるフロー量と対応するクラスタ中心間の変位から,ワーピングのための重み付き多対多対応を生成し,ファジークラスタ毎のモーフィングを行う.閉曲線・曲面に基づく手法とは異なり,モーフィング結果が2値になることが保証されていないため,空間2次元と遷移パラメタ1次元の計3次元のボリューム画像に対して,グラフカットに基づくノイズ除去処理を行う.実験により,アルファベット文字や歩行シルエットなどのトポロジの異なる形状間のモーフィングが可能であることを示す.

発表
  1. Y. Makihara and Y. Yagi, “Earth Mover’s Morphing: Topology-Free Shape Morphing Using Cluster-Based EMD Flows,” Proc. the 10th Asian. Conf. on Computer Vision, pp. 2302-2315, Queenstown, New Zealand, Nov. 2010.[PDF]
  2. 槇原 靖, 八木 康史, “Earth Mover’s Morphing -領域クラスタのEMDフローを用いたトポロジ非依存な形状モーフィング-”, 第13回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2010), pp.2068-2075, 7月, 2010.[PDF]

ホモグラフィ対応ペアに基づく前景・影・背景のセグメンテーション

前景と影,及び背景のセグメンテーションは,多くのビジョン応用にとって重要な前処理である.本研究では,この問題をホモグラフィ対応点のペアに対するラベリング問題として扱った新しい枠組みを提案する.従来,ホモグラフィの幾何制約を利用した平面上の障害物検知方法や影の検出方法が数多く提案されてきているが,これらをセグメンテーション問題に適用した場合,必ずしも隠蔽領域に対して良好な結果を得ることができない.本手法では,ホモグラフィ対応点ペアの各々のラベルを対称的に考え,そのペアに対して,隠蔽関係も考慮したラベル付けを行うこと,正確なセグメンテーションを実現する.

発表
  1. H. Iwama, Y. Makihara, and Y. Yagi, “Foreground and Shadow Segmentation Based on a Homography-Correspondence Pair,” Proc. the 10th Asian. Conf. on Computer Vision, pp. 2790-2802, Queenstown, New Zealand, Nov. 2010.[PDF]
  2. 岩間 晴之,槇原 靖,八木 康史, “ホモグラフィ対応ペアに基づく前景・影・背景のセグメンテーション”, 第13回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2010), pp.2060-2067, 7月, 2010.[PDF]
  3. 岩間晴之, 槇原 靖, 八木 康史, “ホモグラフィ対応ペアに基づいた前景と影のセグメンテーション”, 情報処理学会研究報告 UC研究会, 情報処理学会, pp.1-8, 6月, 2010.[PDF]

消化器官展開画像生成

消化器官内視鏡映像による検査では,移動するカメラから撮影した画像列を獲得するが,病変の確認には,画像列を繋ぎ合わせた静止画として描画する方が容易である.本研究では,超広角レンズまたは全方位ミラーから獲得したカメラ側方の環状画像列から,投影面を一般化円筒の制約以外に既定しないビデオモザイキングを行う.環状画像を展開した画像は隣接フレーム間の移動が多項式近似可能で,変形した展開画像を多数フレームで貼り合せることから,腸管展開画像を生成する.

特許
  1. 特願2004-041209: 内視鏡および内視鏡システム
  2. PCT/JP2005/002416: 内視鏡システム
発表
  1. Suchit Pongnumkul, Ryusuke Sagawa, Tomio Echigo, Yasushi Yagi, “Deformable Registration for Generating Dissection Image of an Intestine from Annular Image Sequence”, In Computer Vision for Biomedical Image Applications, pp.271–280, 2005.
  2. 阪井 拓郎, Pongnumkul SUCHIT, 佐川 立昌, 越後 富夫, 八木 康史, “注視点を考慮した腸管展開画像の適応的表示法”, 画像の認識・理解シンポジウム論文集(MIRU2006), pp.92-97, 7月, 2006.
  3. Suchit PONGNUMKUL, Ryusuke SAGAWA, Tomio ECHIGO, and Yasushi YAGI, “Deformable Registration for Generating Dissection Image of a Tube from Annular Image Sequence,” 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2005), pp.335-340, 7月, 2005.