大阪大学 産業科学研究所 複合知能メディア研究分野

医療・健康管理

人の健康状態や疾病の兆候の中には,人の歩行を始めとする行動に表れることが知られています.そこで,歩行映像を始めとする人物映像解析を通して,認知機能推定や水頭症の診断支援といった医療応用や,体組成推定や疲労推定といった健康管理への応用を目指しています.

デュアルタスク歩行映像解析による認知機能推定

二つのタスクを同時に実行するデュアルタスクは、単一のタスクより脳にかける負荷が重いため、認知障害の初期段階から二つタスク間の切り替えがスムーズにできないです。デュアルタスクのパフォーマンスデータが、認知障害の早期発見に有効であると思われます。本システムは、深層学習などの手法を利用し、デュアルタスクパフォーマンスデータから、認知機能、年齢などの個人属性を推定することができます。私たちは、本システムを利用して、70,000セッションを超える大規模なデータセットを収集しました。本システムの関連内容が科学博物館で常時展示されています。

文献:

特発性正常圧水頭症の診断支援

特発性正常圧水頭症は,治る認知症として注目されており,歩行障害を呈することが知られています.治療のためにはシャント術という手術を受ける必要があり,その改善の度合いは,髄液排除前後の歩行テストの成績改善度合いによって予測されます.本研究では,その歩行テストの成績改善を定量的に評価することで,予測精度を改善することを目指します.

文献:

深層学習による少数データからの体組成推定

体組成(体脂肪率・体水分率・筋肉量等)は健康状況を把握するための重要な指標ですが,その計測に用いられる体組成計は一般的に高価です.体組成の一部は,体型や歩行動作にも影響を与えると考えられることから,歩行映像解析による体組成推定を目指します.特に,体組成の真値付きのデータは限られることから,大規模歩行映像データベースの一般的な歩容指標(腕ふりの大きさ等)をターゲットに事前学習してから,体組成をターゲットに追加学習することで,少数データでも効果的に学習することを可能にします.

文献: