大阪大学 D3センター ライフデザイン・イノベーション拠点本部

コンピュテーショナルフォトグラフィ

イメージングは医療、バイオ、ロボティクスなどあらゆる科学技術の基盤です。イメージング技術は、レンズ設計を中心に長い歴史の中で改良を重ねられてきましたが、近年、情報科学の進展を背景に原理レベルでの技術革新が生まれつつあります。八木研究室では、最先端の光学と情報科学を融合したコンピュテーショナルフォトグラフィと呼ばれる次世代イメージング技術を研究しています。光情報処理を駆使した符号化計測法や、数理最適化を基盤とした画像再構成処理、及びそれらの協調デザインの開拓が研究テーマとなります。

レンズレスイメージング

レンズが無ければ被写体を直接撮影することはできません。しかし、計算機を用いて光学現象の逆問題を解くことで、撮影後に被写体画像を再構成することは可能です。この仕組みに基づくレンズレスカメラは、従来の物理限界を超える小型カメラの実現に有望です。さらには、レンズに起因する撮影性能の限界を打破するポテンシャルも有しています。私達は、レンズレスカメラの広画角化や解像度改善、画像認識応用などのテーマに取り組んでいます。

レンズレスカメラの実験光学系、撮影画像、及び再構成画像

圧縮センシング

まばらな撮影データから、完全な画像を復元することは可能でしょうか?実は、これは自然画像のスパース性(少数の基底の重み付き線形和で概ね表現可能ということ)に着目した画像再構成処理と、ランダム符号化された撮影過程の組み合わせにより実現可能です。この「光符号化イメージングxスパース再構成」が融合設計された計測技術は圧縮センシング(Compressive Sensing)、または光圧縮イメージング(Optical Compressive Imaging)と呼ばれ、イメージングのスループットを拡大する技術として注目されています。私達は、圧縮センシングに基づく超解像イメージングや新原理センサ開発に関するテーマに取り組んでいます。

スパース拘束付き線形逆問題(凸最適化)を反復アルゴリズムで解き、まばらな撮影データから被写体画像を再構成