距離画像の統合

Great Buddha Project --観測に基づく文化遺産のデジタル保存--(東京大学池内研究室)

文化遺産をデジタル保存する利点には次のようなものが挙げられる.
  • 文化遺産の保存
  • 文化遺産の修復
  • 文化遺産の展示
文化遺産をモデリングする際の問題点には次のようなものが挙げられる.
  • 観測対象が巨大である
  • 観測対象が屋外にある
このような場合,どうやって観測対象の形状や色を取得すればよいのだろうか?
複雑な形状の観測対象を扱うことによって生じる非常に巨大なデータを どのように処理するべきか?

距離画像統合の並列化

これまで,複数の距離画像を統合して1つの形状モデルを生成する手法として 合致表面法 (ppt)と呼んでいるアルゴリズムを提案してきた. 今回文化遺産をデジタル保存するために,巨大なデータを扱う必要が生じてきた. そのため統合処理を並列化するアルゴリズムを提案して 巨大なデータを扱うことを可能にする. 提案するアルゴリズムは次の2つの手法からなる.
  • 距離画像の分散配置
  • オクトツリーの並列探索

光学的情報付き合致表面法

距離画像統合の枠組みにおいて光学的特徴を加えた3次 元モデルを構築する手法を提案する. 距離画像が持つ光学的情報として, レーザ反射量と輝度値(色) の2つの場合を考える.

距離画像が持つ光学的特徴の合致をとることによって, ランバーシアン反射パラメータを抽出し, 鏡面反射などの影響による外れ値を除外することが可能になる.

色情報付き距離画像統合処理の例:
入力画像 (おもちゃの家.何枚かの画像には鏡面反射成分が含まれている)
統合処理結果 (鏡面反射成分は取り除かれている)

適応的な解像度による統合

元の合致表面法はoctree を用いて効率的に符号付距 離を計算するが,生成したメッシュモデルは全ての部 分で最も細かい解像度で生成されている.観測対象を 表現するためのデータ量を減らして計算機資源を効率 的に利用するために,観測対象の幾何的,光学的特徴 に応じて適した解像度でメッシュモデルを生成する手 法を提案する.

提案する手法は次のような評価基準によって オクトツリーを適応的に分割する.

  • 幾何的特徴: 表面の曲率
  • 光学的特徴: 色の変化