反射型液晶を用いた広ダイナミックレンジカメラ

明るい所と暗い所を一緒に撮影した場合 市販のカメラでは一度に撮影できる明暗の範囲(ダイナミックレンジ)が狭いため、見えにくい部分があります。

明るい場所が見えない 暗い場所が見えない

そこでこの研究では反射型液晶というものを用いて明るいところ,暗いところを同時に, なるべく正確に撮影できるすることを目標にします. 反射型液晶とは液晶の一種で,鏡のように光を反射し, 反射の際に色を表示します. 例えば,黒を表示すると入射光は暗くなって反射されます.

反射型液晶を用いた次のようなシステムを試作しました.

レンズから入った光を反射型液晶にあて, 強い光に対しては黒,弱い光に対しては白と, シーンにあわせた制御を液晶に対して行うことで カメラで受光する光を一定以下にします.

カメラ 液晶
強い部分の液晶を暗くすると
 
明るい部分のみ光が弱くなり
 
できるだけ一様な画像が撮影されます
 

こうして撮影された光とそのときの液晶の状態から 元の光量を計算します.

明るい部分の表示 暗い部分の表示 両方混ぜた画像

また,計測の結果,通常のカメラより約50倍強い光にも耐えられることがわかりました.


入射光量に対するシステムの出力


このカメラは上記のような静的なシーンのみでなく, 以下のような動きのあるシーンにも適用できます. (画像は各4フレームごとの映像)
1段目のように液晶の制御をしない場合, 正しく明るさを表現できませんが, 液晶を制御することで明るい部分の情報も得ることができます. また,シーンの動きが速すぎる場合液晶の制御が追いつかず ブレのようなものが撮影されます(3段目の画像).

シーン情報カメラ液晶