人間の行動観察のためのセンシングシステムの構築

特定領域研究「ITの深化の基盤を拓く情報学研究」
研究項目A03人間の情報処理の理解とその応用に関する研究

研究代表者:八木康史・教授
研究分担者:佐川立昌・助手
大阪大学・産業科学研究所・複合知能メディア研究分野

研究目的

 本課題では,周囲360度が実時間観測できる全方位視覚センサを入力手段として,日常生活のおける人間の行動を非接触で観察できる実時間人間情報計測システムを構築する.ここでいう人間情報計測とは,人物の移動軌跡,ジェスチャや身体動作の計測から頭部や視線方向の推定,さらに性別や個人の識別,表情の認識を指す.

研究計画

具体的に,以下の3点に関して研究を実施する.

1) 全方位視覚センサによる個人や表情の認識

 第一に全方位視覚センサを用いた個人認証に適した画像特徴はなにかに関して深く検討を進め,被験者が自由に動き回る中で個人識別が可能なシステムを構築すると共に,表情認識への発展のための基本検討を始める.

2) 実時間人物情報計測の実現

 第二は,複数人物の発見,移動軌跡(方位変化)の計測,顔領域情報の抽出さらにこれらの情報のハードディスクへの記録を30Hzの動作速度で実現する.

3) 異なる特性を持つ人物特徴のための階層的パターン認識空間の検討

 人物追跡(方位計測),ジェスチャ認識,表情認識などの処理に要求される画像解像度や計測精度は,処理内容により異なるため,同一の基準ですべてを計測することは難しい.本研究では,研究代表者が提案した階層的パラメトリック固有空間法の考え方をもとに,異なる特性を持つ人物特徴を統一的に表現するための階層的パターン認識空間の検討を行う.