CVIM研究会について



[コンピュータビジョンとは] next next

コンピュータビジョンは、人間の持つ高度な視覚機能を情報科学的観点から解明することおよび、計算機を用いて柔軟な視覚情報処理機能を実現することを目的とした学問分野です。本研究会は、1975年に設立され、当初はイメージプロセッシング研究会として活動を行ってきましたが、1979年にコンピュータビジョン研究会に名称を変更し、以来2次元の画像処理だけでなく、3次元の物体やシーンの認識・理解、ロボットビジョン、画像データベース、画像処理プロセッサなど視覚情報処理に関する広範なテーマについての積極的な研究活動を推進してきました。

[運営委員会の活動] next prev next

発足当時より、イメージプロセッシングおよびコンピュータビジョン研究会運営委員会では、研究発表会の開催に加えて標準画像データベースおよび画像データ交換用フォーマットの提案、画像処理アルゴリズムパッケージSPIDER実現への貢献、画像処理関連文献のデータベース化、さらに最近では米国およびヨーロッパ連合のコンピュータビジョン研究者との協同による 画像理解研究用ソフトウェア環境(Image Understanding Environment) の開発などといった独自の研究活動を行い、我が国における画像処理、コンピュータビジョン研究のレベル向上および技術の普及をはかってきました。

[デジタル画像処理からコンピュータビジョンへ] next prev next

こうした20年の研究会の歴史の中で、当初は2次元ディジタル画像処理技術とその応用として工業部品・製品の視覚検査や位置決め、文書・図面画像処理、医用画像処理、リモートセンシング画像の処理が活発に行なわれました。1980年代後半になると、2次元画像を用いた3次元距離・形状や運動情報の獲得を目指した、いわゆるShape from X (X: shading, texture, contour, motion)に関する理論的研究とロボット視覚への応用が盛んになり、「コンピュータビジョン」という研究分野の技術的基盤とその応用システムイメージが確立されました。一般に、コンピュータビジョンの目的は、「与えられた画像からその画像に写された現実世界の記述を作ることにある」と考えられており、この問題を解決するには今後もまだまだ精力的な研究が必要です。

[イメージメディアの処理] next prev next

一方、最近のコンピュータビジョン研究の分野では、従来の「画像→現実世界の記述」といったシーンの認識・理解を目指しロボット視覚の実現を目的とした研究に加え、画像やビデオ映像、3次元物体イメージをメディアとして捉え、画像・映像メディアの処理・変換・編集・蓄積・伝送を目的とした研究が盛んになってきています。こうした研究は、コンピュータグラフィックスやいわゆるバーチャルリアリティとは異なり、システムへの入力はあくまでもカメラで撮られた画像やビデオ映像であり、入力された画像・映像データをディジタル画像処理およびコンピュータビジョンのアルゴリズムによって処理、解析することにより、人間にとってより自然で豊かな情報を持ったイメージを生成しようとするものです。たとえば、現在研究が進められている研究課題としては、カメラアレイによって撮影された画像集合を用いたインタラクティブ立体テレビ、人間の顔や手足を写した画像からの表情や運動・行動情報の抽出、電子図書館における画像・映像メディアの検索・編集・表示、3次元CTやMRIを用いた外科手術シミュレーション、スポーツや演劇・ダンスを写したビデオ映像からの行動分析などがあります。

[コンピュータビジョンとイメージメディア] prev next

以上述べてきましたように、本研究会は国内外における視覚情報処理研究推進の中核的役割を担っており、これまで進めてきたディジタル画像処理、コンピュータビジョンの研究に加え、今後新たな発展が期待される画像・映像メディア処理への展開を図ることを目指して、1996年より研究会の名称をコンピュータビジョンとイメージメディア研究会へ変更しました。
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